たまにライトノベル

2021年上半期ライトノベル10選

やる。基本新作。 今回はミステリが多く入ったけど、そういう気分だったからです。

 

 

 

本格ラブコメ×本格ミステリ、開幕!

生徒相談室の引きこもり少女・明神凛音は真実しか解らない。
どんな事件の犯人でもまるで神様の啓示を受けたかのように解ってしまう彼女は、無意識下で推理を行うため、真実に至ることができた論理が解らないのだった。
伊呂波透矢は凛音を教室に復帰させるため、「彼女の推理」を推理する!

 

これこれ!って感じの学園ミステリ。最初の一話と二話はちょっとタルいけど三話からは面白い。青春の苦みは良いんだけど紙城境介先生は陰キャ女さんにめちゃくちゃ厳しいので男で良かったと思った!(僕が女性だったら苦しくなってる)

 

 

完璧主義者を自負し、医師を志す俺、黒木光太郎は苦悩していた。
 完璧な人生にはキスが必要なのか……いや、恋愛もキスも俺を惑わせるものに違いない!

 そんなときに出会ったのは「誰とでもキスする女」と噂される同級生の日野小雪。ひょんなことからこいつと、「ある勝負」をすることになったんだが――
「ね、チューしたくなったら負けってのはどう?」
「ギッッ!?」
「あはは、黒木ウケる――で、しちゃう?」
 誰がキスなんか! と思いつつ。俺は目が離せなかったんだ。俺にないものを持っているはずのこいつが、なんで時折、寂しそうに笑うんだろうか。
 ――非リア、ヤリチン、陰キャ、ビッチ。
 この世には「普通じゃない」ことに苦悩する奴らがいる。
 だが――それを病気だなんて、いったい誰に決める権利があるんだ?

 全ての拗らせ者たちに処方する原点回帰の青春ラブコメ

 

うさぎやすぽん先生の新作。前作ほどの面白さはなかったが今回もまぁまぁ。ほとんどいない現役のラノベ作家兼医者の人で、医師志望の学生キャラも多くいたんだからもっと魂込めて書いて欲しかった所もあるけど、うさぎやすぽん先生の武器である青春のグルーヴ感は今回もあったので感じてほしい

 

 

統合暦2099年――新宿市。究極の発展を遂げた未来都市に、伝説の魔王・ベルトールは再臨した。巨大都市国家の輝かしい繁栄と……その裏に隠された凄惨な“闇”。新たな世界を支配すべく、魔王は未来を躍動する!

 

今年、新作で一番完成度高かったのは今のところコレですかね。サイバーパンクはたらく魔王さまって感じの内容なんだけど起承転結上手くまとまってると思います。オススメ。

 

 

「半月後私たちは恋人になるのだけど、あなたはその直後に死ぬわ」隣の席の美少女・笹篠から突然の告白&余命宣告!? 運命を変えるため、今すぐ恋人になろうと迫る笹篠だが……そのセリフ、三人目なんですけど!?

 

SFミステリ。ヒロインのループしてる時間で謎が出てきてそれを解いてく話なんだけどSFの部分とミステリの部分ががっちり結合していて面白い。途中にやたらテニスやってる描写で文字数稼いでくる薄っぺらさは問題だと思うけど、本筋は面白いのでセーフ!!!

 

 

「私に、一人の過ごし方を教えてほしいの!」
ぼっちを極めた俺・八城重明にそう頼んできたのは、リア充グループの人気者・花見沢華音だった。周りの友人に合わせてリア充でいることに疲れたという華音に、俺は一人で楽しく過ごすための“ぼっち術”を教えることになるのだが――その結果、華音に師匠と呼ばれて妙に懐かれてしまい!?
さらに華音との交流がきっかけでリア充たちの抱える問題に首を突っ込まざるを得なくなり――!?
ぼっちの達人とリア充たちが繰り広げる青春ラブコメの最先端、ここに開幕!

 

これはねぇ......かなり踏み込んでる。新時代に。。。

若い世代の書いた「イマ」の青春ラブコメではないけど、ライトノベルの青春ラブコメの進化を見せてくれた作品だと思う。凄く社会性の強いラブコメなんだけどスクールカーストを突き詰めていった結果と言えば妥当性がある。スクールカースト崩壊の先のお話

 

 

「春は――無事、此処に、います」
 世界には冬しか季節がなく、冬は孤独に耐えかねて生命を削り春を創った。やがて大地の願いにより夏と秋も誕生し、四季が完成した。この季節の巡り変わりを人の子が担うことになり、役目を果たす者は“四季の代行者”と呼ばれた――。
 いま一人の少女神が胸に使命感を抱き、立ち上がろうとしている。四季の神より賜った季節は『春』。母より授かりし名は「雛菊」。十年前消えたこの国の春だ。雛菊は苦難を乗り越え現人神として復帰した。我が身を拐かし長きに亘り屈辱を与えた者達と戦うべく従者の少女と共に歩き出す。彼女の心の奥底には、神話の如く、冬への恋慕が存在していた。
 暁 佳奈が贈る、季節を世に顕現する役割を持つ現人神達の物語。此処に開幕。

 

泣きたいならこれを読め!!!上巻の一章は瞬間最大風速なら今年の新作ライトノベルでぶっちぎりの一位。美麗な文章にそれを補強する設定も良い。上巻は最強!!!

ちなみに今年のこのラノは多分これね。コトシハマジデアテル

 

 

脳の縫い糸――通称〈ユア・フォルマ〉ウイルス性脳炎の流行から人々を救った医療技術は、日常に不可欠な情報端末へと進化をとげた。
 縫い糸は全てを記録する。見たもの、聴いたこと、そして感情までも。そんな記録にダイブし、重大事件解決の糸口を探るのが、電索官・エチカの仕事だ。
 電索能力が釣り合わない同僚の脳を焼き切っては、病院送りにしてばかりのエチカにあてがわれた新しい相棒ハロルドは、ヒト型ロボット〈アミクス〉だった。
 過去のトラウマからアミクスを嫌うエチカと、構わず距離を詰めるハロルド。稀代の凸凹バディが、世界を襲う電子犯罪に挑む! 

 

僕の一押し。一つ一つが丁寧で全体的にレベルが高いね。ここ近年で出てきたラノベ作家の中ではトップクラスにSFを書ける作者だと思ってるんで、その辺好きなら是非。。。

 

 

『人生はつまるところ妥協』が信条で、自分を偽ってお調子者を演じる高校生・朝井秀侑は、親友の幼馴染で学校一の美人の奈良岡詩音に叶わない片想い中。
ある日、サブヒロインもいいところ、教室で孤高を貫く腐れ縁同級生・楠木乃菜と話をしていると、ふとした冗談から付き合う流れになってしまい――。
「……言ったからね。訂正はなしだから」
彼氏彼女が欲しかった二人は、お互いに妥協した上で恋人同士に!?
付き合うルールを決めて、夜通しメッセージのやりとりをしたり、家での勉強会やデートで可愛い一面を発見したり。
妥協から始まった恋人生活は意外と楽しい!?

 

構成力が高い一冊。主人公の妥協主義がうまいこと作品に組み込まれている。すべての生きづらさを抱えた人たちへ───────みたいな所はあるけどポジティブな内容なんであんまり臭さは無いし良いっすよ。実質ライト文芸の青春枠

 

 

学校に来なくなった「名探偵」の葛城に会うため、僕はY村の青海館を訪れた。

政治家の父と学者の母、弁護士にモデル。
名士ばかりの葛城の家族に明るく歓待され夜を迎えるが、
激しい雨が降り続くなか、連続殺人の幕が上がる。

刻々とせまる洪水、増える死体、過去に囚われたままの名探偵、それでも――夜は明ける。
新鋭の最高到達地点はここに、精美にして極上の本格ミステリ

 

紅蓮館の殺人の続編。前作の探偵とは?という内容にいまいちハマれなかったものの今回はそこに対しても上手く書いてて隙が無い。畳みかける展開で読んでて常に面白く緊迫感があったのが特に良い。キャラも立ってたしライト文芸じゃなくてライトノベル(狭義)として扱ってええか?(狭義ライトノベル至上主義者)

 

 

とうとう見つけたよ/何を?

「いいですねェ恋。恋はいい。恋ほど女を美しく見せるものはない」

実家への挨拶を兼ねた伊豆旅行。ところが仙波監督の思惑で、ひなたたち中学生組も参加、その場でドキュメンタリー撮影が始まってしまう。
一方、ひなたと明日香の“女の戦い”は加速するばかり。間にはさまれた達也は、ひとり頭を抱えるのだが……? 
フィルムに映る少女の恋は、果たして虚構か真実か。

何がとびだすかわからないビックリ箱――椿屋ひなたが、ついに世界に解き放たれる。

 

三角関係の一つの可能性を見せてもらった。徐々に面白くなっていったシリーズだけど、JKと社会人の恋愛ものとしては近年ライトノベルで一番だと思う。キモイ性欲は全部オシャレで誤魔化して倫理観はゴミ箱に捨ててどこまでもオシャレにやっていこう。綺麗なラストですべてを覆い隠して

 

とうとう見つけたよ 何を? 永遠を

太陽とともに沈み去った あの海をだよ

 

 

 

こんなもん。まだ半分だけど去年に比べるとやや小粒かな?ただ、これは僕がラブコメばかり読んでいるってのはあると思う。今はラブコメ大氷河期時代に突入してるので………