『ペルソナ3』過ぎ去った青き時代 散る櫻
ソメイヨシノの大半はクローンであり、日本で咲いている多くの桜がソメイヨシノである。そしてそんな人工的に作られた桜を見て今年も桜が綺麗だと人は言う。
これほどまで人が偽物の美を崇めている瞬間は早々存在しないだろう。
前提として人は偽物と本物の美を見分けらず、見分けたうえで偽物の美を肯定することが往々にしてある事を""僕たち""は知っているはずだ。
このペルソナシリーズと呼ばれるゲームは基本的に学園ジュブナイルである(3,4,5,)そんでペルソナの一番面白い所は学園ジュブナイルを上手く使った青春体験型のゲームであるところだと思ってたので3も非常に面白かった。特に今回はストーリーが想像以上に良かった(3はストーリーが良いってのは知ってた)
面白い話ほど読み進めたい。
けれど、読み進むのが怖い。
読み終わると、また『僕』に戻ってきてしまうだろう?
逃げられない『僕』に...
優しくて幸せで、ありきたりで、希望にあふれた...
そんな話が読みたいな...
そうしたら僕は、『僕』に戻ってきても悲しくならないような気がするから...
人は『私』から逃げられない。物語にどれだけ触れようが、それらは偽物であり『私』は『私』に戻ってきてしまう。そんな行為に意味なんてないだろう。
僕が生きた意味っていうのは...
僕が考えることじゃない。
誰かにとって、何かの意味があるかってことだ。
つまり僕は...僕も君も、誰もが...
『生まれた』ってことが、生きた意味なんだ。
それでも、神木コミュでは答えが示される。でもだったら、『ペルソナ3』という青春体験型ゲームの意味はどこに存在しているのか。偽物の青春の価値はどこに存在しているのか。自己啓発以外に(それが悪いことではないんだが......)
そこで出てくるのがアイギスだ。
...わたしに命じられた目的が、今、わかりました...
わたしは...『生きろ』と命じられた機械。
命じたのは...わたし自身。
怖くても『生きて』みよう...
わたしは、わたしと約束したから...
アイギスは機械だ。もちろん機械は人の為に作られたモノであり人ではない。ソメイヨシノが作られた自然であるように。そんなアイギスが自由意思を示して自分の過ごしてきた日々が輝いていたことに後になってから気づく。
これはプレイヤーとのリンクでもあるように思っていて、というのもペルソナ3自体が中盤あたりから話が重くなってテーマもジュブナイルから離れてくるからである。
プレイヤーにとってキャラクターは人間ではない。それは偽物であり、人の為に作られたフィクションでしかない。だがソメイヨシノを見て人が美しいと思うように、偽物の青春を美しいと思うのがそんなにおかしいことだろうか?
機械に心があるなら身体が機械でも、人を愛するように人は物を愛することが出来るだろう。たとえ、それが偽物と呼ばれるものだとしても
生きる事は『人との繋がり』なのに、命は有限で、別れを避けられない。
悲しいけれど、わたしと理さんにも、
いつかそれは訪れる...
全てのものは、消えて、生まれて、
常に移り変わってゆく...
有限で、はかないもの。
だヵらこそ、大事でいとおしくて、
無駄にできないって思える...
ペルソナ3ではアイギスだけが死なない存在として主人公を看取るが、機械もいずれは機能を停止する。未来に永遠はないが過去はどうなのだろう。きっと主観による変化はあるだろう。それでもアイギスは"あなた"を守ると最後まで言い続けた。
終わってしまうから......有限で主観だからこそ、過去を永遠にさせようとすることが僕たちには出来るのだ。
時は、待たない。
だけど今年も桜が咲く。そのたびに、思い出すだろう
過ぎ去った青き時代の美しさを
そしてその青は月日に色あせても変わらず青いはずだ
2023年ライトノベル10選
来たね。ミステリーが。ライトノベルの潮目を変える激流の時代が
ってのが理想なんだよな。でも現実はまだそんな時代来てない。分かってますよ、そんなこと。これが個人的な理想であることも
それでも流れが変わる気配は僕だけではなくライトノベルの読者であるならば感じていることだろう。であるならば、叫ばせてもらおう
ミステリーの流れがライトノベルに来ていると!!!!!
増加する凶悪犯罪に対抗し、探偵という職業の必要性が飛躍的に高まった現代。
日本で唯一「国家探偵資格」を取得できる超難関校・真理峰探偵学園に今年、とある少年と少女が入学する。
一人はかつて〈犯罪王〉と称された男の孫・不実崎未咲。
もう一人は〈探偵王〉の養女・詩亜・E・ヘーゼルダイン。
宿敵同士の末裔二人が、ここに邂逅したのだ!
そして始まる学園の日々。早速入学式から模擬事件が発生!?
しかも、一番先に正解したはずの詩亜よりなぜか不実崎の方が点数が高くて──
「私は──あなたに挑戦します!」
「後悔すんなよ、お姫様」
これは、真実を競い合う新たな学園黙示録。最高峰の知的興奮がここにある!
俺がお前らにミステリーの楽しさを懇切丁寧に教えてやるよ!!!
捻くれた読み方をするならそういう感じの作品です。紙城境介の前作『僕が答える君の謎解き』は作者自らが自身に対して本格ミステリも書けるんだと自画自賛していたが、ライトノベルの読者からの評価はそこまで高くはならなかった。だからなのだろうか?今作は二巻までミステリである以前にエンタメであることを強く意識している(ミステリがエンタメであることは前提として)。今後この作品がどういう方向に進むかは分からないがどちら、あるいは両方を選択したとしても二巻までがそうであるように面白い作品になるのだろうと信じている。
僕のようなミステリ初心者にも楽しく読んでもらえるようなライトノベルだと思います
年が明けてからもずっと「冬」が続くという異常気象。
気温のあがらない夏、九月に降る雪。コメの収穫は絶望的で、原油価格は上昇し続け、消費は冷えこんでいる。もう世界は終わってしまったのかもしれないと、人々は日に日に絶望を深めていった。
神奈川県の出海町にある海水浴場も一面雪で覆われ、サーファーも釣り客もヨットのオーナーも姿を消した。この町で育った高校生、天城幸久にはこれまで想像もつかなかった光景だった。降り続く雪でリモート授業も今では当たり前になっている。世界はもうすっかり変わってしまったのだ。
雪かきスコップを手に幸久は近所のとある場所へとやってくる。
金属製の門をくぐった先には、前面が総ガラス張りの変わったデザインの家が建つ。その敷地内で雪かきをしている女の子がいる。高校からこの町へ越してきた同級生、真瀬美波だ。彼女はこの家にひとりで住んでいる。
幸久は彼女の家へと通い、雪かきを手伝うことが日課になっている。
幸久と美波はすでに交際しているのだが、学校ではほとんど会話もしないため、クラスメイトたちは誰もその事実を知らない。
雪に閉ざされた世界のなか、二人は秘密のデートを重ねていく。
なんというか僕たちは少年少女の限界に意味を持たせすぎてたんじゃないだろうか?皆さん『秒速五センチメートル』『天気の子』は好きですか?僕は好きです。ポストコロナのライトノベルは今年そこそこ出てきましたが、この作品はコロナ禍のメタファーとしては上手く機能していない。それでも今年最もセカイ系の文脈で新海誠とは違う回答を叩きつけたライトノベルだとは言えるだろう。途中から純文学テイストの文章も出てくる石川博品の作風の広さも見どころである。
最近のラノベSF実際すくねぇだろ!?つって切れてたら普通に出てきたよね。オタクジャンルで絶対出てくるような量子力学の話が続いてくけど、後半からの展開は魂を感じる出来に仕上がってるので読んでみて欲しい。俺つばのストーリー部分に影響を受けてるようなラノベあるんだなと思ったよ
彼女を推すことに青春の全てを捧げ、V界隈でも名を馳せていた高校生の苅部業は、乃亜の魂の醜態がネット上に晒され、大炎上したことで人生が一変する。
「おれはあの夜に死んだ……」
運営から推しの臨終を告げられ絶望した業は、高校を休学し一年後VTuberの炎上ネタを扱うブロガーとして日々を過ごしていた。
そんな業の元に『自分のVTuberを炎上させてほしい』という依頼を持ち込む美少女、小鴉海那が現れ――。
「これは人助け……いえ、VTuber助けみたいなものです」
『推し』の最期をプロデュースする救済と再生の物語
推しって言葉キモイよな。分かるよ。ニコ生の配信者が絵被っただけで持て囃される文化意味わかんねぇよな。分かるよ。それでも喪失と再生というテーマは普遍的なものであり上手くやれば響くものがあるだろう。そして僕は推しってやつを上手く理解できないがこれも一つの喪失と再生の物語として成り立っているのは分かる。そういう力強さを感じる物語だ。
そもそも妻が亡くなってからの再生とかも結婚すらしてねぇんだから別に特別感情移入出来ないしな……
磯原めだかは、人とはちょっと違う感性を持つ女の子。
ちいさく生まれてちいさく育ち、欲望らしい欲望もほとんどない。物欲がない、食欲がない、恋愛に興味がない、将来は何者にもなりたくない。できれば二十歳で死にたい……。
オナラばかりする父、二度のがんを克服した母、いたずら好きでクリエイティブな兄、ゆかいな家族に支えられて、それなりに楽しく暮らしてきたけれど、就職のために実家を離れると、事件は起こった。上司のパワハラに耐えかね、心を病み、たった一ヶ月で実家にとんぼ返りしてしまったのだ。
逃げ込むように、こころ落ち着くバスタブのなかで暮らし始めることに。マットレスを敷き、ぬいぐるみを梱包材みたいに詰め、パソコンや小型冷蔵庫、電気ケトルを持ち込み……。さらには防音設備や冷暖房が完備され、バスルームが快適空間へと変貌を遂げていく。
けれど、磯原家もずっとそのままというわけにはいかなくて……。
面白かったんじゃないですか
“妖精の淑女”と渾名されるイカサマ霊媒師・グリフィスが招かれたのは、帝国屈指の幽霊屋敷・涜神館。
悪魔崇拝の牙城であったその館には、帝国が誇る本物の霊能力者が集っていた。
交霊会で得た霊の証言から館の謎の解明を試みる彼らを、何者かの魔手が続々と屠り去ってしまう……。
この館で一体何が起こっていたのか?
この事件は論理で解けるものなのか?
殺人と超常現象と伝承とが絡み合う先に、館に眠る忌まわしき真実が浮上するーーーー!!
ミステリとしてはずば抜けた面白さだった思う。超能力者が出てくる特殊設定ミステリって奴なんだろうが論理と超能力のバランスが本当に良かったよ。悪かったところは犯人が分かってから展開が適当過ぎたところ。今年ミステリのラノベ読みたいならこれしかない!!!
2025年。
人類観測史上最大規模の太陽フレアが発生、突然の磁気嵐が地球を襲った。
その影響で起こった大規模停電により、日本は通信、インフラがストップする異常事態に陥る。
その日、東京・渋谷で偶然初恋の女性・水星と再会した元自衛官の陸は、水星の妹・金星から大規模停電の理由と、「ある事実」を知らされる。
文明が停止し、パニックに陥る東京ーーそんな状況下で、かつての想い人の命と、東京に危機が迫っていた。
自身の姉の命の為にもじっとはしていられない金星と、自らできることは何があるのか迷う陸。
情報、交通手段、手助けなし。
出会ったばかりの金星と陸、たった二人の任務が始まった。
物語に触れるときは癖でテーマ中心に読み解こうと自然になってしまって、だから読んでる途中にそういう考えが全然浮かばない作品って僕にとっては少ないんないですよ。特にラノベはサブカルチャーの中でもテーマ性を重視してる作品が多いので。でもこのラノベ読んでてテーマが気になんないんですよ。無いわけじゃないけどそれ以上に面白いポイントが多数に散りばめられていて気にならない。
読者に「面白かった」の一言で終わらせたくなる作品は決して作者が何も考えず書いてるわけではなく、語らせない強さを持った作品だと思う。そんな一作です。
人類滅亡の危機が発表されてから二年が経ち、世界はとっくに恐怖することに疲れていた。誰もが、どうしようもない現実を忘れてダラダラと毎日を過ごしている。そんな、人類最後の夏休み。
夢を投げ出した少年はずっと好きだった幼馴染との距離感がわからず戸惑い、スランプ中の文芸部部長は場末のゲーセンでゾンビをド派手に蹴散らす少女と出会い、やさぐれモード全開の女子高生は謎だらけの転校生を尾行し、重大な秘密を抱える少女は廃墟マニアの恋人との最後のデートに臨み、ひねくれ者の少年は女子高生監督に弱みを握られて人類最後の映画を撮る――。
どうせ終わる世界で繰り広げられる、少年少女のひと夏の物語。
エモぶってちゃぁ!!!!!切実さなんて出ねぇんだよ!!!!!!!!!!!出ないの。エモぶってるだけのライトノベルに切実さなんて。ポストコロナの作品としてただメタファーやって終わるんじゃなくて、世界の掘り下げとその世界に生きてる人間たちの切実さを抽出することを重視してたこのラノベ愛です。物語を愛してなくちゃこんな小説は書けないだろうし二重で愛です。物語が好きで物語を信じているオタクにお勧めしたい。
真面目な生徒会長、清瀬まつり。彼女が放課後ラブホテルで何しているのか、その秘密を知ってしまったことから、おれと彼女の関係は始まった。ホテルでおれに見せるまつりの表情は、学校の物とはまるで違っていて――
愛で世界が救われんのかよ。世界を肯定出来ない人間が愛だけで全部救えんのかって言ってんの!!!!!!
………てかもう我慢できないから瀬戸口廉也の話するんだけど、carnivalみてぇな作品だなぁと思ったよこれ。ただ違うのはオスカーワイルドばりの皮肉を効かせながら、それでも世界を愛そうとした魂の文章があること。carnivalの「片思いだ」はガチで最高の台詞だが全てを諦めているようなmusicus!以前の瀬戸口廉也の文章であり個人的に気にくわないんですよね。『生徒会長との待ち合わせは、いつもホテル。』がハッピーエンドだとは思わないが、それでも彼と彼女が生きていくのだろう。そう信じさせてくれるような物語だ。今年の新作マイベストです。
今年このラノにこの作品が入れれたらどうなってんただろうとは思う。それぐらい完成度が高く万人受けする物語で、ライトノベルでもちゃんと面白いと評価されて売れる事があるんだなって希望を持てる作品だったね。ミステリ要素もあるしこれが一位獲ってたら来年マジでミステリブーム来そうだなぁって感じだったけど……
それはそれとして今年ラノベ普段読んでない人間に一冊進めるとしたらこれ以外ないと思う。外した作品を読みたくない人間にとっては優等生な一冊。
いや~どうでしたか?皆さんにとって今年のライトノベルは。僕はラブコメの流れが少し変わりそうで良かったですけど。まぁ来年どうなってるかなんて分からないんでね。祈りながら待ちますよ。この調子で面白いライトノベルが出てくることを
真ライトノベルランキング
一位 りゅうおうのおしごと!
二位 楽園ノイズ
三位 わたし、二番目の彼女でいいから。
四位 生徒会長との待ち合わせは、いつもホテル。
五位 十五光年より遠くない
六位 負けヒロインが多すぎる!
七位 シャーロック+アカデミー
八位 ミモザの告白
九位 誰が勇者を殺したか
十位 冬にそむく
もういつメン過ぎて語る事がねぇわ。ただ一つ語りたいことがあるとすれば『りゅうおうのおしごと!』だな。ここ二年ぐらいの対抗馬がいなくての一位と言うよりはいても絶対に勝てないだろうなと思えるぐらいの魂の一冊だったと思う。18巻は。AIと人間をテーマにした小説として長谷敏の『プロトコル・オブ・ヒューマニティ』に全然負けてない人間性の回帰のSFとして傑作だったから。まぁあなた方は読まないんでしょ?作者がキモいもんな。いや作者が嫌いで読んでない作家なんて僕もいるんで別に良いんですけど………
いや嘘。多分来年完結するんで完結したら一気に読んでみてください。マジで面白いんで。
それではまた来年
ライトノベルの廃りと流行り
読んでねぇよ。知らねぇよ。SFがどうのこうの知らねぇよ。ラノベが衰退したとかしてないとかも知らねぇよ
両方キモイのは分かるけどよ。いやキモイって。知らねぇよ。なぁ
ラノベにSFはあるって、あるにはあるけど別に流行ってはねぇだろ。それも『筺底のエルピス』だの『ストライクフォール』だの何年前だよ。『ユア・フォルマ』すら最近ではなくなってきてると俺は思ってるんだが……
そりゃラノベにSFを求めてる人間に今のラノベが面白くないのはしょうがねぇだろうが、流行ってねぇんだから
全部は読んでねぇけど『月とライカと吸血姫』の名前は出してたし(そこで読むのやめたが)多少は"最近"のラノベ追ってた人間じゃないのか?
そういう人間に対してエルピスだのストライクフォール上げてどうすんだよ?
素直に今のライトノベルはSFが流行ってないしお前は客じゃないって言えば終わる話だろ
それを言えないのは欺瞞だろうが………!!!!
で、SFのオタクは全てキショいってのは皆さん分かってると思うのですが、同時にキショいオタクが生息しているミステリは現在ライトノベルで流行ってます。ライトノベルを読んでいたら分かると思うけど(このブログではデータなんて一つも出す気はない)
数年前までラノベは異世界ファンタジーとばかり言われてきたが、今では(文庫)空前のラブコメブームが来ていて、ミステリも流行りだしてきている。
これはライトノベルに対する擁護だがお前らみたいなキモ・オタク全ての要望に応えるほどライトノベルはきっと大きくない。もし、もっとラノベのデカさを主張したい人間がいるなら今後、作家/編集者として俺の主張を覆してほしい
なので、くだらない言い訳はやめて本音で喋ろうぜって話です。
俺はラブコメが好きだ(ドンッ!)でも今のおもんないシチュエーションラブコメの大喜利が大嫌いだ!だから今のライトノベルは暗黒期で最悪だと思ってる。何故なら俺が嫌いだからだ!!!!!!!!!!!!!
『風立ちぬ』美と醜悪のアンビバレント
「貧乏な国が飛行機を持ちたがる。それで俺たちは飛行機を作れる。矛盾だ。明日、東京へ行ってくる。嫁をもらうんだ」
「嫁?」
「本腰を据えて仕事をするために所帯を持つ。これも矛盾だ」
今の悲しさを記録しておく。
『君たちはどう生きるか』のネタバレあります
君たちはどう生きるか、皆さんは見ましたか?僕は見ました。人生であまりジブリの作品見たことが無かったんですけど、この作品を見終わったときは怒りが湧いてきた。
それはこの作品から物語の諦念を見出したから。普通に見たらあの塔はジブリのメタファーでって、感じなんだろうが、僕には物語そのものに対する諦めに見えた。
最後に主人公が物語を取らずに現実を選択するのはタイトル通り選択肢を用意していて、好きに生きろよってことなんだろう。(メタファーを素直に受け取るなら息子を映画にかかわらせたことに対する後悔でもある)
ただ、眞人は宮崎駿自身でもあると思っていて、そうなった場合この作品のラストは物語に対する諦念に映るだろう。自分の力量不足でこれ以上は言葉にできないが、この作品から希望を見出すことは今後も無いと思う
それで、ここ数日ぐらい宮崎駿は昔は面白かったんじゃないか会を一人で開催してジブリの映画を見続けていた。
そうして出会ったのが『風立ちぬ』である。
主人公である堀越二郎は飛行機が好きで、飛行機の設計に携わる仕事に就くが、それは戦争の道具になり果てる(この時点で彼のエゴイズムが見受けられる)
親友の本庄が分かりやすいがこの作品の設計師は反戦思想に近いモノを持っていて、それでも飛行機を作っている。これもまたアンビバレントである。
宮崎駿自身が飛行機好きで左翼である事を考えるのは面白くないやり方だが、そう考えるとやっぱり分かりやすくはなるだろう。
ヒロインである里見菜穂子が最後に山に帰ってくシーン
「美しいところだけ、好きな人に見てもらったのね」
ここで全てが氷解する。堀越二郎は自己中心的な人間であり、また、里見菜穂子も自己中心的な人間である。愛するがゆえに自分は仕事しながら嫁を自分の元に置いておく。愛するがゆえに美しいところだけ見てもらって病弱する所は夫に見せない
この関係性は一見すると美しくもありよく考えると醜くもある。それはエゴイズムだけで成り立っているからだ。
この様に美しいところだけを切り取った作品が『風立ちぬ』である。戦争の描写が殆ど無いのもそういう理由であると個人的に思っている。
宮崎駿はこの作品で美しいところしか見せたくなかったのだ
それは堀越二郎が作中で見ていた夢の世界であり、幻想の世界だ
だがそれを出来る唯一の表現がある
それはフィクションだ
実際のモデルが存在していながら都合のいい所だけ切り取るこの物語はノンフィクション風である完璧なファンタジーだ。
人は完璧なファンタジーを見たとき、偽りであると感じる。あまりにも綺麗すぎるモノには裏があると思ってしまうから
だから完全な美は虚構にしか存在しなく、そこには醜さが存在している。
虚構の美を描こうとしたら醜さも出てしまう
矛盾だよ、これも
『楽園ノイズ』 失ったものと手に入れたもの
新学年を迎え、気になるクラス替え。僕らバンドメンバーはまさかの四人とも同じクラス! まともに授業が受けられるわけがない! 伽耶も入学してきて僕の学校生活はますます騒がしく、プロからの作曲依頼に加えて軽音部のプロデュースまで買って出てしまって大忙し。
そして華園先生も新生活を始め、目指すはピアノコンクールでの優勝――そこになぜか凛子が参戦!?
新展開続々でトップギアのまま春から夏へと駆け抜ける超高純度青春ストーリー、二年生編突入の第6弾!
皆さんは『さよならピアノソナタ』という作品をご存じだろうか。ご存じ?そうですか。そう、杉井光の代表作であり音楽を題材にしたライトノベルである。
そして、楽園ノイズも何を隠そう音楽を題材にした電撃文庫から出ているライトノベルである。
作者である杉井光がこのラノのインタビューで『楽園ノイズ』は『さよならピアノソナタ』の焼き直しだと言っていたが、この言葉がどれだけ不誠実な言葉であるかは『楽園ノイズ』の6巻を読めば分かる事だろう。
この6巻では"失うこと"が強く意識されて書かれているが、『楽園ノイズ』自体が失われた物語であることに気づいているだろうか?『さよならピアノソナタ』では音楽よりもジュブナイルを重要視した作りになっていたのに、『楽園ノイズ』では『さよならピアノソナタ』に存在していたジュブナイル要素が失われているのである。
これは作者が年を取ったのもあるだろうし、純粋に同じような作品を書いても通用しないと思ってたのかもしれない。他人の事なんて分からないので実情は知らないが。
じゃあ、ジュブナイルを失ってしまった『楽園ノイズ』に何が残るのか言えば音楽である。当然言えば当然だが音楽を題材にしているのだから、そこからヒューマンドラマを削ぎ落としていけば残るのは"音楽"だ。
ソナタの楽節は現実に存在すると信じたスワンは、間違っていたわけでない。さきの観点からすると小楽節は、確かに人間的ではあるが、現実を超越した異次元の存在である。われわれがけっして見たことのない存在であるとはいえ、目に見えない世界の探検家がわけ入ることのできた神の世界から一つ捉えて持ち帰り、しばし地上で輝かせることが出来たからこそ、われわれもまたそれを認識して心打たれるのだ。
芸術の神秘性を祈ってる物語だなんて、ジュブナイルを切り捨てたからこそできる芸当だと思うが『楽園ノイズ』6巻では過去から音楽と青春が見いだされる。
「見返すと恥ずかしい部分もあるけどね。思い出したくないこともたくさん。もう顔も見たくないやつが映ってたりすることもある。プレイも青臭いし、衣装もさすがに一昔前だからダサいし、……でも、まあ、必要なんだよ」
「これ観てると、こいつって音楽好きなんだな──って思うよな。自分なのに、なんか他人事みたいに。もうやめちゃったから他人事同然だけど。たまに、迷ってる時、頭ぐちゃぐちゃしてる時に、戻れるところがあるってのはすごく大事だと思う」
「へったくそだろ、柿崎んとこ」
結局のところ楽園ノイズは音楽の物語だから、出てくる登場人物たちは大人が多いし、青臭い青春小説なんて側面は殆どない。でも、過去にそれらの残り香が残されていて、失ったものを手にしたような気分になるぐらいは出来るのかもしれない。
音楽が、いや、人間が本質的に孤独であり、音楽は孤独を癒せない。それでも音楽と孤独を肯定してくれたこの物語に感謝を。
ノイズを音楽として見出すことが出来るのが人間なんでしょうね
『ブルーアーカイブ』メタファーからの解放 私が私になった日
あまねく奇跡の始発点、終了しました。感想です。
──この物語は、覆された。
脈絡、構成、ジャンル、意図、解釈……すべたが破壊され──
その意図は絡み合い、混ざり、撹拌され──
統制できない程に褪せてしまった。
先生よ───
これまでの物語は全て忘れるが良い。
これからお前の身に起こることは、
最早そのような物語ですらないのだから──
エデン条約編がゼロ年代から青春の物語に覆された物語であることから(前のブログで書いてます)フランシスのこの発言はもう一度青春の物語からゼロ年代に反転させるという意味であることが分かる。
色彩は、我らの本質を歪曲する。より正確に言うのであれば──根源を反転させると言うべきかのう。いずれにせよ、今の自分でなくなることに変わりはない。
そして色彩によって根源が反転されたシロコはゼロ年代のメタファーとなる。
ブルーアーカイブでは度々責任について言及されてきたが、そのたびに先生である"大人"が責任を負うべきであると答えてきた。そして今回すべて自分で責任を負おうとしたのがシロコテラーである。子供が責任を負う物語というのは今も昔もあるけど、まぁここで出てくるのはセカイ系でしょう。シロコテラーはゼロ年代のメタファーなんだから。
そして今までと同じように大人である先生が責任を負ってセカイ系のアンチテーゼでゼロ年代からの脱却が行われる。正直ここまではエデン条約でも似たような事やっていたし、同じことやってどうすんねーーんって感じなんだが、こっから見事に覆したね。
(違う、)
(あの子は……)
(アビドス高等学校の……砂狼シロコだよ。)
私の「世界」で苦しんでいる、ただの「子ども」だよ。
シロコをメタファーとして捉えていた無名の司祭はここで先生に否定されることでシロコはメタファーから解放される。そしてこれはプレナパテスやA.R.O.N.Aもである。この二人もブルーアーカイブのもう一つの側面である部分として存在していたがシロコ同様にメタファーから解放される
理解できないものを通じて、私たちは理解を得ることができるのか
二つ目の古則、エロゲやったことある人間ならまず間違いなく他者の話である事を推察できるし、実際そんな感じなんだけど、俺はこの問いに違う言葉を入れたいと思う。先生が好きな言葉を入れていいといっていたので。
理解できない他人(物語)を通じて、私(物語)を確立することができるのか
他人を通して自分を見つけることが出来たなら、それは繋がりたり得るだろうか?それは分からないが、他人の目に自分が写っているのは私という存在の認識に繋がるだろう。
あまねく奇跡の始発点では自分という他者であるシロコテラー/プレナパテス/A.R.O.N.A/を通じてこの三人も含めて私を確立する話であったように思う。
A.R.O.N.Aがアロナからプラナという名前をもらって私が私になったのだから
そして、この自分で自分を確立するやり方はブルーアーカイブでも行われている。時計じかけの花のパヴァーヌ編でのアリスの「私は私になりたいです」はゼロ年代の模倣から始まったブルーアーカイブという物語を自分自身で私を確立させようとした言葉に繋がる。
だから、あまねく奇跡の始発点はゼロ年代の模倣、そしてアンチテーゼを超えて
私という物語が生まれ始まった、そんな奇跡の始発点
はい!私たちの帰る場所であり、私たちの物語が始まる場所───
Blue Archiveに!
わたしの物語100選
遍歴
1.東映アニメーション『金色のガッシュベル!!』(アニメ)
朝起きてガッシュ見てたあの頃に帰りたいぜ
2.A-1 Pictures『おおきく振りかぶって』(アニメ)
初めて見た深夜アニメ。思い出深い。
4.WHITE FOX『STEINS;GATE』(アニメ)
当時のオタク達が褒めてたエンジェルビーツが面白くなかったので期待してなかったけど面白過ぎて衝撃を受けた
5.A-1 Pictures『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。』(アニメ)
高校受験落ちて春休みに家で引きこもって見てたら涙が止まらなかった
7.AIC Build『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(アニメ)
初めて見た露骨な萌えアニメ。一期が本当に好きで、「なんだよこのタイトル!」から素晴らしすぎるに変わった。だが原作は今だに読んでない。
8.ボンズ『交響詩篇エウレカセブン』(アニメ)
9.サンライズ『コードギアス 反逆のルルーシュ』(アニメ)
10.P.A.WORKS『true tears』(アニメ)
湯浅比呂美さん、好きです。
11.京都アニメーション『CLANNAD-クラナド-』(アニメ)
keyアニメで済ませてるのでゲームやりたいですね。
12.Production I.G『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』(アニメ)
青春
原作読んでたわけじゃなくてリアルタイムの一話で面白アニメであることを確信持ってたのマジで俺だけだろ
一番好きなアニメ。11話でしゃくりあげて泣いた
ガキの頃からジャンプ一筋なので
20.岸本斉史『NARUTO-ナルト-』(漫画)
やさしくなりたい
23.あだち充『タッチ』(漫画)
史上最強の漫画
初手天元!?
29.富樫義博『HUNTER×HUNTER』(漫画)
一応一番好きなラブコメ(漫画)ですね(作者から顔をそらしながら……)
31.TBS『池袋ウエストゲートパーク』(ドラマ)
母親が好きだったドラマで俺も好きなドラマ
32.TBS『SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~』(ドラマ)
これで指パッチン出来るようになった。
33.HBO『ゲーム・オブ・スローンズ』(ドラマ)
34.ソニー・ピクチャーズテレビジョン『ブレイキング・バッド』(ドラマ)
35.コッポラ『ゴッドファーザー』(映画)
36.フランク・ダラボン『ショーシャンクの空に』(映画)
37.タランティーノ『パルプ・フィクション』(映画)
38.クリストファー・ノーラン『インターステラー』(映画)
39.ロブ・ライナー『スタンド・バイ・ミー』(映画)
高校生の頃から青春コンプだったからこれ見て俺の為の映画だと思った。
40.曽利文彦『ピンポン』(映画)
窪塚洋介に憧れていた
42.新海誠『天気の子』(映画)
43.新海誠『秒速五センチメートル』(映画)
新海誠キモ過ぎる……これ好きなオタクもキモ過ぎる……
オタクから叩かれててショックを受けた作品。俺は今でも好きです(半ギレ)
ラノベアニメ史上最強
火垂るの墓嫌いなんですけど、これ見たときは火垂るの墓という作品があって良かったなと思った。
映像で作品を語るってこういうことなんだなぁと思った。
初エロゲ。おい今俺とゆずソフト馬鹿にしたよな?
50.ゆずソフト『サノバウィッチ』(エロゲ)
綾地寧々さん、好きです。
51.あかべぇそふとつぅ『車輪の国、向日葵の少女』(エロゲ)
52.Leaf『WHITE ALBUM2』(エロゲ)
これより面白い物語たくさんあるけど完成度の高い物語は存在せん
53.Le.Chocolat『SWAN SONG』(エロゲ)
ノーマルEDで言葉を失った
54.OVERDRIVE『MUSICUS!』(エロゲ)
55.FIyingShine『CROSS†CHANNEL』(エロゲ)
EDであまりの感動に言葉を失ってた2
田中ロミオ最高傑作
これだけ長いゲームで一本筋を通したのは魂を感じた
58.しゃんぐりら『暁の護衛』(エロゲ)
61.DESSRT Soft『彼女は友達ですか?恋人ですか?それともトメフレですか?』(エロゲ)
63.枕『サクラノ詩-櫻の森の上を舞う』(エロゲ)
64.枕『サクラノ刻-櫻の森の下を歩む』(エロゲ)
すかぢ三部作は俺という存在そのものと言っても過言ではない。
絢辻詞さん、好きです。
66.スパイク・チュンソフト『ダンガンロンパ』(ゲーム)
67.Yostar『ブルーアーカイブ -Blue Archive-』(ゲーム)
小説を読むようになった原点。口癖は戯言だけどね。
69.村上春樹『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド(小説)
71.鎌池和馬『とある魔術の禁書目録』(小説)
72.聴猫芝居『ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?』(小説)
73.白鳥士郎『りゅうおうのおしごと!』(小説)
2016年ラノベ読むようになった四天王。早くイリヤの空を超えてラノベ最強になって欲しい。
74.鴨志田一『青春ブタ野郎シリーズ』(小説)
2016年ラノベ読むようになった四天王。やさくしくありたい
2016年ラノベ読むようになった四天王。読んでねー奴は読め!
76.園生凪『友達いらない同盟』(小説)
2016年ラノベ読むようになった四天王。帰ってきてくれ
初めての叙述トリックで衝撃を受けたけどその後叙述トリックのミステリ調べて「知ってたら面白くないじゃん」となった(完)
78.秋山瑞人『イリヤの空、UFOの夏』(小説)
天才の文章
80.衣笠彰悟『ようこそ実力至上主義の教室へ』(小説)
生きようと私は思った
82.J・D・サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』(小説)
思春期じゃぁないけれど、ライ麦畑でつかまえて欲しい願望がある
83.丸戸史明『冴えない彼女の育て方』(小説)
86.武田綾乃『響け!ユーフォニアム』(小説)
87.江波光則『パニッシュメント』(小説)
88.ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』(小説)
91.ジョージ・オーウェル『一九八四年』(小説)
93.米澤穂信『小市民シリーズ』(小説)
世界で一番面白い物語
96.フョードル・ドストエフスキー『罪と罰』
97.フョードル・ドストエフスキー『地下室の手記』
学校で読んでて陽キャから取られた
98.フョードル・ドストエフスキー『悪霊』
初めてラノベ以外の小説を読もうとして、選んだのがこれ。読むのに半年かかった。
100.渡航『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』
青春のすべて。
俺ガイルが青春のすべてだったことも物語が俺の青春のすべてだったことも全部含めて
やはりと言わざるを得ない。
アニメで力尽きて後は遍歴じゃなくてバラバラです。やる時は百個も選ぶのキツイなと思ってたけど100に絞るほうがよっぽどキツかったぞ(一つの媒体に偏らないようにバランスよく入れようとした結果)
あれ入ってねーこれ入ってねーって自分の中でかなりある(今書いてる途中にもオナニーマスター黒沢を入れ忘れたことを思い出している)けど、記憶って普遍じゃないんでね。それでも自分の血肉になってないかと言えばそうじゃない気はするよ。そういう風にこれからもやっていきたい
もし次やる時があったらシンプルに面白かった物語100選やりたいですね
最後に他の人の見てやったんでこれ見た人も是非やって下さい。やらないと呪われます(チェーンメール)