たまにライトノベル

2024年ライトノベル9選

はい。9選です。シンプルに今年あんまり読めなかったので。来年は頑張ろう。

去年はミステリくるか~~~?みたいな話をしてたけど、あんまり来なかったね。逆に(?)今年はSFが強かったな(なんでだよ)じゃあ来年はファンタジーか?
いや、本当はラブコメが来てほしいんですけどね。そういや今年は『負けヒロインが多すぎる!』が頑張ってましたね。なんか久々にラノベ原作がアニメで盛り上がってるの見てちょっと嬉しかったな。アニメ君にもまだまだラノベやれるんだぞって事を分からせる必要があるので今年も書いてきますよ。面白かったラノベをね

 

「わたしとあなたが恋をしないと、世界は終わる」
不機嫌な美少女 × タイムパラドックス × 暴走する量子
「白昼夢の青写真」が話題のノベルゲー界の超新星、降臨!

SFではあるけど、どっちかっていうとラブコメとして面白い。失礼な話ノベルゲーのライターってラノベ来た時分かりやすくシナリオライターのテキストだなってことが多いんだけど、この人は違ったね。文章はこなれてるし構成力もある。ギャグセンがかなり高くてテンポも良いからいつかラブコメ書いてほしい。ガガガあたりで

 

中学三年の夏休み。初花晴は脚の負傷で大好きなバスケットボールを遠ざけ、
地方にある祖父母の家に兄とともに滞在している。
祖母ハルの勧めで、近くの山にある祠に兄とお参りに出かけると、その道中、
森の中に広がる池の前にしゃがみ込む、華奢な金髪の少女と出会う。
無表情で「自分の名前を知らない」「死にたい」とつぶやく少女を晴は説得。
一週間だけ生きてみることにした少女をセミちゃんと名付けて友達になろうとする。
しかし、セミちゃんの姿をを見ることができるのは晴だけで、兄らはまったく見えないという。
記憶がまったくないようすのセミちゃんを放っておけない晴は、
祖父母の家に招いて一緒に暮らし、寄り添うことにするが――!?

名作エロゲーみたいな終わり方するし読後感は今年で一番だと思う。ネタバレ食らったらダメな作品ってその言い回しがすでにネタバレじゃねぇかと思うけど、そういう作品です(ネタバレ)とはいえこの作者の作品毎回そんな感じだしな……

 

全人類の記憶をロックした前代未聞の身代金テロの真相は――。

3Dバイオプリンターの進化で、バックアップから生命を再生できるようになった近未来。世界最先端のテックカンパニーで働くエンジニア・園晴壱(その はるいち)は、突然の異動辞令を受けた直後──意識を失った。
その後バックアップから〈復元〉されて目覚めた晴壱は、なぜか死亡直前の記憶を喪失していた。そのため面会に訪れた保険調査員を名乗る謎の美女・殿森空(とのもり うろ)より、保険金詐欺として多額の債務返済を迫られる。さらに時を同じくして、全人類の記憶のバックアップをロックするという前代未聞の大規模テロが発生。晴壱はその主犯としてまさかの指名手配を受ける。双方の打算から空と手を結んだ晴壱は、身に覚えのない容疑を晴らすため自らの死の真相の解明

あらすじから面白オーラやばいけど実際面白い。謎が謎を呼ぶ展開でグイグイ読ませるから割とガッツリSFだけどSF苦手でも読みやすいとは思う。有名どころのSFかなり混ぜたような作品だしそりゃ面白いんだよな

 

ヒロイン全員、同じ名前!? 誰を下の名前で呼びますか?

新たな出会いの季節、四月。
景行想は中高一貫の私立征心館学園に唯一の編入枠として入学することに。
見渡す限り富裕層の学校で、ただ一人異邦人として過ごす日々。
そこで出会い、心通わせた少女はなんと──五人全員下の名前が同じ《ナツキ》だった!?

しかも、ナツキというのは幼少期、とある理由で想にとってトラウマとなる名前で──。
これは、青春の一切を諦めて打算で学校を選んだ少年が、
ただひとりの少女を下の名前で呼んでみるまでの、なんでもない青春の物語である。

今年数少ない面白かったラブコメ。年取ってコテコテのラブコメしか読めないアラサーの皆さんに是非読んでほしい。マジでキャラ紹介しかしてなくて一巻で全く話し進んでないの凄いよ(褒めてる)ただ問題が一つあって涼暮皐は打ち切り常習犯なので壮大に何も始まらず打ち切られる可能性はある。読みましょう。

 

いつか未来の地球。大陸を占める合衆国と南に隣接する首長国連邦は、東西に伸びる3775キロの国境線で200年にも渡って戦争を続けていた。しかしそこに、人の兵士はいない。兵士は全てロボット。そんな戦闘の最前線地帯を二体のロボット、マシューとガルシアはポンコツトラックで移動中。二体の本業は戦闘で壊れた兵士ロボットのスクラップ集め。副業は兵士ロボットたちに向けた「ラジオ番組」の24時間配信。
「……戦場からお送りするファー・イースト・ゴー・ウェスト・チャンネルをお聴ききの皆様、こちらマシューとガルシア。戦線は200年と10日現在、相変わらずの激戦下。俺たちは砲弾が飛び交い兵士同士が壊し合う中、相変わらず暢気に旅を満喫中」
ある日マシューとガルシアが見つけたのは、戦場にいるはずのない「人間」。12歳の少女マリアベルだった。二体と一人の暢気な24時間実況中継の旅は、戦闘真っ只中の長い長い国境地帯を辿る。マリアベルの「家」があるという「西の果て」を目指して

江波光則のSF読んだことなかったけど当たり前のように格が違うレベルで面白いの笑ったわ。AIが台頭してきた現代でのSFとしても読めるんだけど、ラノベ作家割とみんなこのテーマに対して似たようなスタンスなんだよな。長谷敏や白鳥士郎も。ラノベ以外のSFそんな読まんからラノベ作家特有なのか作家は基本このスタンスなのかは知らんけど。何はともあれ江波光則レベルの作家がこんだけ長いこと作家やっててそこまで売れてないのやっぱ納得いかねぇんだよなぁ……

 

思うに〈青春〉というのは、よくできた推理小説のようなものだ。
失われてしまった恋愛成就の桜の謎。部活勧誘の小さな違和感。巨木の樹齢に秘められた物語。
密室で消えたハムスター。壊れかけの生物部に捧げられた、高校生たちの切実な決断。
無関係だと思われたひとつひとつの因果はどこかでつながっていて、
あとから振り返って初めて俺たちはそれを〈青春〉と認識する。そこでようやく気付くのだ。
見落としていた大切なことに。「検証してみようよ……科学的に!」
これは、科学をこよなく愛する高校生たちが日常で直面する数々の謎に挑む、
綱長井高校「理学部」のささやかな活動記録。
――そして、一つの初恋が解き明かされるまでの物語である。

今後次第ではラノベの青春ミステリを代表する作品になると思う。現在のラノベミステリって紙城境介の存在が大きくて意外と本格ミステリ頑張ってますってノリなんだよね。だからこういう王道な青春ミステリって意外と少なくてそこ突いてきたなぁって感じ。決してトリックのレベルが低いわけでもないので本当に青春ミステリとしての完成度が高いと思う。オススメです。

 

ゾンビになっても未来は明るい。人間の時よりも元気な身体になるし、宇宙飛行士(※酸素や新鮮な食料を必要としないゾンビは、宇宙船や月面基地での仕事に適しています)にだってなれる。
ゾンビだって恋をする。バレンタインデーにはクラスの気になるあの子に、ライバルより高級なゴルゴンゾーラ(※ゾンビは新鮮な食品を嫌いますが、発酵食品は人間と同じものを食べられます)をあげたい。
ゾンビ誕生から「歴史完成」に至る、人間とゾンビの宇宙興亡千年史!
※2519年6月20日「新人類憲章」の成立により、長年差別的であるとされてきた「ゾンビ」という呼称は廃止されました。本書では当時の時代背景と本書の資料的意義を考慮し、一部表現をそのまま掲載しています

ゾンビが発症してから人類が滅びていく時代をショートショートで書いた作品。人類の愚かしさと人類賛歌。今年の新人では頭三つぐらい抜けてる作家だと思う。電撃文庫はマジでこいつ囲っとけ。新人でこのレベルは相当出てこない。

 

 

みんな分厚い仮面を被って生きている。だけどそれって真っ黒なウソじゃん。

 人間は何枚もの仮面を被って生きている。薄っぺらい笑顔の仮面を何枚も、何枚も被って。そして次第に本当の気持ちをなくしていく。そう気づいたときオレは決心したんだ。
 他のやつらみたいに自分を偽るようなことはしないぞ、と。
 
 高校生になり、オレは由衣に運命の恋をする。告白をするが玉砕。彼女は学校の人気者・幸太郎と付き合ってた。
 ありのままの自分を否定され傷心のオレは同じく幸太郎に振られた彩音と出会う。
 身なりはボサボサ、自己中心的な彩音を見て、オレたちは自らを変革する必要性を悟る。

 運命の相手がオレたちじゃないなら、オレたちが運命の相手になればいい。
 お互いの想い人になり、運命の相手を略奪する計画を開始する――。

おせぇよ、零真似。いつまで遊んでたんだよお前。だから俺は言っただろ。ポエムで気持ちよくなってんなって。お前が哲学科でそういう話しやるの嫌だったとか知らねぇよ。本質ぶれよ。なぁ、ちょっと本質ぶっただけで頂点目指せるんだから。

青春ラブコメは本質ぶってからがスタートだ

 

「宇良々川さん、最近ちょっと浮いてね?」
学校の休み時間、すやすやと眠る宇良々川さんは浮いていた――物理的に。

物理学的にあり得ない宇良々川さんの秘密を知った物理学信奉者の菊池一成(通称ハカセ)は考えた。無重力状態にある彼女の体重はゼロの可能性がある……宇良々川さんがパイロットになれば、鳥人間コンテストで大会新記録を出すことも夢ではない! 交通事故で負傷した自分の代わりに人力飛行機パイロットにするべく宇良々川さんを飛行機部に勧誘するハカセと個性的すぎる部員たち。だが、彼女には誰にも話せないある事情があって……。

物理法則に反する少女と、物理学を信奉する少年。何もかも正反対な二人が織りなす、悲喜こもごもな青春グラヴィティ小説。

今まで四季大雅のことはポテンシャルが高いだけの作家だと思ってた。ただ、今回は流石に本物だった。何がうれしいってこいつ意外とラノベ読んでたんだなってのが分かったこと。どう考えても化物語と俺ガイル意識してたしな。まあ全体的には『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』みてぇだったが。書いてることは『わたしはあなたの涙になりたい』から大きく変わってるわけじゃないんだけど、小手先の才能に技量が追いついた感じだな。

ただ、俺はまだ満足してない。四季大雅という作家はもっとやれると思う。来年はシリーズものをいい加減やってくれ

 

 

今年も面白かったんだけどメンツが固定されてきてるような印象があるので来年はどしどしおもろい新人が出来てきて欲しいね

 

 

ライトノベルランキング

一位 りゅうおうのおしごと!

二位 ミモザの告白

三位 クラスで浮いてる宇良々川さん

四位 ソリッドステート・オーバーライド

五位 シャーロック+アカデミー

六位 はじめてのゾンビ生活

七位 セピア×セパレート

八位 がらんどうイミテーションラヴァーズ

九位 わたし、二番目の彼女でいいから。

十位 よって、初恋は証明された。

 

今年はミモザの告白です。ラノベで久々に傑作がでたわ(りゅうおうのおしごと!は置いといて)正直批判されてもおかしくないラストだからこそ八目迷が小説家としてあの選択をしたのが凄いよ。作家が何を書かなきゃいけないのか分かっててもアレは書きづらいので。正直人は選ぶんだけど、流石にミモザの告白は読んでほしいよね。完結しちゃったから「アニメ化されたら見るわ」も出来ないだろうし。五巻で終わってるのも短すぎず長すぎないので良いですよ。

 

それではまた来年